梅と日本
梅と日本文化Culture
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梅と日本文化
- 日本では、花と言えば昔は初春の訪れを感じさせる「梅」であった。梅は、花をめでるばかりでなく、食品としても日本人の身近に存在しています。梅の花が終わると、実を漬け込んで梅干や梅酒にして味わう家庭も多いでしょう。また、紀州の南高梅などは、梅干しの最高級品として人気があります。昔ながらの梅干しは酸っぱくて塩辛いものですが、塩分や酸っぱさを適度に抑えることで、大変人気です。健康食品として世界的に梅干しブームが起きるかもしれませんね。
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梅と和食
- 海外旅行や仕事での長期滞在に、梅干しを持っていくという方も多いのでは。すし、さしみ、天ぷらが日本料理の代表として世界的にも知られますが、やはり白いご飯、味噌汁、焼魚、梅(漬物)、卵などの食べなれた和食は、毎日でも飽きずに美味しく感じるから不思議です。とくに「梅」は、日本の朝食において欠かせないごはんのお供として、わたしたちの記憶にしみこんでいます。
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梅と文様
- 梅をモチーフにした文様も、多種多様に存在します。着物、布、紙、衣類、マーク、印刷物、ハガキ、手紙、団扇、陶器、小物入れ、法被、ハンカチ、のれん、タオル、鞄、インテリアなど、梅が描かれた品を数えれば、枚挙に暇がありません。日本人にとって、それだけ梅の花が身近で、愛されてきた存在ということでしょう。
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梅と家紋 – 梅紋
- 古来から日本人に愛されてきた梅の花。梅柄の家紋も多数存在します。「梅鉢」を家紋にもつ家柄として有名なのは、加賀百万石の大名として知られた前田家です。また、学問の神様・菅原道真をまつる大宰府天満宮や北野天満宮なども「梅」に関する紋を使用しています。梅柄の家紋は、「梅鉢」が多いものの、梅の花そのものの「梅花」や「重ね梅」や「向い梅」「三つ盛梅」などがあります。左下は・・・トノハタのマークですね。
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梅と美術
- 梅は日本の伝統芸術のモチーフとしても多く取り入れられ、襖や陶器、着物、絵柄等にも多々描かれてきました。たとえば、国宝の「紅白梅図屏風」は、江戸時代の絵師・尾形光琳が晩年に手がけた代表作。紅白の梅、老木と新木の対比。川の真ん中への斬新な配置—。曲線、屈曲、流水と拮抗した絶妙なバランスが天才の妙味でしょう。
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梅と苗字
- 「梅」の字がつく苗字や地名も多くみられます。平安の昔から、土地の開拓者や支配者が土地の領有を宣言する意味も含め、地名を家名としたことに由来するといわれます。逆に、家名が地名となったパターンも多くみられます。梅井、梅渓、梅丸、梅木、梅野、梅原など「梅」がつく苗字はさまざまありますが、「梅」さんという1文字の名字の方は、全国に約500名存在するそうです。
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梅と盆栽 – 外国人にもBonsaiで人気
- 梅の盆栽は、新年を祝う縁起物として知られます。花が咲くので、盆栽の中でも「花物」と呼ばれます。盆栽は、鎌倉時代には武士階級の趣味として広く普及していたことがわかっています。樹齢100年〜300年以上となる名作も存在します。最近では、外国でもBonsaiとして人気があります。
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梅と俳句
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古くから日本人に愛されてきた梅の花は、詩歌にも多く詠まれてきました。
- 梅一輪 一輪ほどの あたたかさ – 服部嵐雪
(早春、庭の梅がぼつぼつ咲き始めて、その梅が一輪ずつ咲くごとに、気候も日に日にあたたかくなっていく) - 梅が香に のっと日の出る 山路かな – 松尾芭蕉
(早春の山道を歩いていると、梅の香りにさそわれるかのように、太陽がのっという感じで顔を出した。春の喜びを味わっている)
梅の花は早春の季語として、現代の俳句愛好家の方々にも多く詠まれています。
- 梅一輪 一輪ほどの あたたかさ – 服部嵐雪
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梅と観梅
- 寒さもゆるみ出す2月になると、日本各地の梅の名所で、観梅の梅祭りが催されます。ゆっくり散策するだけでなく、お花見としてお昼時にお弁当を広げる人や、宴会を催す方々もいるでしょう。日本一の梅のふるさと・和歌山県みなべ町では、2月中旬に山の斜面に植えられた梅畑の花が一斉にひらき、ぼうっと白くかすんだように見えるほどです。
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梅と歌舞伎 – 役柄 – 梅王丸
- 日本の伝統芸能のひとつ、歌舞伎。江戸時代に育成された日本演劇の一形態で、能楽、人形浄瑠璃と並んで、日本の三大国劇と呼ばれています。その歌舞伎にも、梅が登場します。有名なのは学問の神様・菅原道真の左遷をモチーフとした「菅原伝授手習鑑」で、若々しく正義感あふれる若者「梅王丸」が登場します。歌舞伎は、かけ声もいいですね!
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梅と能 – 梅枝
- 日本の三大国劇、能にも梅のモチーフが登場します。「梅枝(うめがえ)」という有名な演目では、身延山の僧と、恨みを残してこの世を去った伶人・富士の妻の心の交流を描きます。作中に演じられる「梅枝」という曲名は「梅が枝にこそ、鴬は巣をくえ」と囃される越天楽より名付けられました。また、和歌山県に関連する能の演目では、「道成寺」が知られています。
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梅と歌 – 梅は咲いたか桜はまだかいな
- 梅をモチーフにした歌も、古くから人々に親しまれてきました。例えば、「梅は咲いたか」は、明治時代に流行した『しょんがえ節』を基にした江戸小唄です。「梅は咲いたか 桜はまだかいな 柳ャなよなよ風次第・・・」と、花柳界の芸妓たちを季節の花々や貝に例えて歌う、お座敷唄小唄として愛されています。
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梅とことわざ – 梅に鶯
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「梅」をモチーフにしたことわざも数多くあります。例えば、以下のものが良く知られています。
- 「梅に鶯」
梅に鶯は取り合わせが良い、美しく調和するもの、と言う意味です。 - 「梅はその日の難逃れ」
朝は白いごはんに梅干し、という方も多いでしょう。朝食に梅を食べれば、その日1日中災難から逃れることができる、という意味です。
花札は日本の伝統的な、かるたの一種で最近では世界でも人気になっています。
- 「梅に鶯」
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梅と花言葉
- 日本の梅(Japanese apricot)にも花言葉があります。「上品」、「気品」、「忍耐」など。たおやかで芯の強い日本の美しい女性をイメージさせますね。また、平安時代の有名な女流作家・清少納言も愛した花だと言われる紅梅の花言葉は「優美」。気品があって華やかな花姿にぴったりの花言葉です。すこし意味を広げてプラム(西洋すもも)Plum blossomの花言葉は「beauty and longevity(美と長寿) Keep your promise(約束を守る)」「fidelity(忠実)」のようです。
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梅と梅雨
- 「梅の雨」と書いて「梅雨(つゆ、ばいう)」と呼びます。6月から7月にかけての初夏の長雨のことで、梅の実が熟す時期であることから、梅にちなんだ名がつけられたと言われているようです。梅にとって、この時期の雨は恵みの雨。梅の実は一雨ごとに大きく膨らみ、収穫の時期を迎えます。
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梅と浮世絵
- 「観梅」などのモチーフとして、梅の花は浮世絵にも登場します。江戸時代の絵師・歌川豊国の「夜の梅」のように、観梅と美人をモチーフにした絵は人気がありました。また、歌川広重の「名所江戸百景」には、江戸で高い人気を誇った梅見の名所、亀戸の梅屋敷を描いた絵が登場します。昔は木の樽を修理してたのですね。
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